この美術館は1972年に、大谷竹次郎(1895~1971)が、美術館設立を条件に、西宮市あった広大な自宅と敷地(2400坪)及び収集した美術作品(639点)を西宮市に寄付しました。
それが西宮市大谷記念美術館の始まりです。1977年には新館ならびにアトリエが作られ、1991年には増改築工事がなされて、現在の近代的な現在の建物が完成しました。
最近の財産目録によると、日本とフランスの近代絵画、地元の作家の作品、現代美術など1014点の美術工芸作品が収蔵されています。
では、この美術館での楽しみ方を紹介しましょう。
●楽しみ方1-庭を楽しむ
美術館に入ると、目の前にすばらしい庭が広がっています。
まずはこの日本庭園庭をゆっくりと堪能しましょう。
緑と水が織りなす芸術作品です。
もちろん、回遊式庭園になっており、
美術館を取り巻くように作られています。
これが住宅地の中にあるとは信じられません。
外に出てこの庭を自由に探索しませんか。
そこは鳥たちの声と、さわやかな水の音にあふれています。
大きく深呼吸をして、自然のエネルギーをもらいましょう。
ベンチに座って、目をつぶり、自然の音をききましょう。
歩いていると、ふと岡本太郎の「午後の日」や
山口牧生の「いとけなきものの船」に出えるかもしれません。
まさしくここは都会の癒しの空間そのものです。
●楽しみ方2 館蔵品展 構成と色彩のリズム

クールベの「眠る草刈り女」をはじめとする名品の展示
を期待していましたが、
今回は「構成とリズム」というテーマで美術館が持っている
20作品が展示されていました。(6月30日~8月5日まで)
今回私が注目した作品は、ハンス・アルプ
(1886年~1966年 石川啄木と同年に生まれた)の
「コンポジション(原作1934年ころ)」です。
ハンス・アルプは、1954年にヴェネツィア・ビエンナーレ
国際彫刻大賞受賞した彫刻家、画家、
そして詩人として活躍したユニークな芸術家です。
私は彼の作品の中にある、ぬくもりのあるフォルムに惹かれます。
コンポジションは白、青、黒のセリグラフ(シルクスクリーン)で作られ、
純粋な抽象表現も中にある曲線のやわらかさがなんともいえませんね。
抽象絵画に人間らしさを感じることができる暖かい作品です。
●楽しみ方3 学芸員によるギャラリートーク
今回藤本由紀夫展が開催されていたのですが、
最初は何を見ていいのやらまったく理解できない
不思議な展示会でした。
展示室の入り口表面に「TABLE MUSIC」という作品があるのです。
チェスバンの上に、オルゴールのねじ18が
上向きに設置されています。
何を見たらいいのでしょうか?
このねじを巻いたらいいのでしょうか?
不安そうな気持ちで見るしかないのでしょうか?
そのような時に、毎週日曜日午後2時から、
学芸員によるギャラリートークがあることを思い出しました。
玄関のロビーで待っていると、髭の池上さんが現れました。
本当に楽しそうに池上さんは、現代アートを説明されます。
そうのような中では、私たちもついついいつの間にか聞いていて楽しくなります。
最初は、口頭で説明し、次に自分で作品にさわること
(オルゴールのねじ巻き等)を行い、
最後に、私たちに同じように触ることを勧められます。
藤本由紀夫アートの本質がそうすることでわかってくるのです。
アートの完成は、
「最後に鑑賞する本人が触って参加することで完成」する。
池上さんの説明を聞き、作品を体感する中で、わかるのです。
現代アートはこのようなエバンゲリオンの存在が欠かせません。
そうすることで、難解なものもスムーズにわかってくるのではないでしょうか。
本当に楽しい解説ありがとうございます。感謝、感謝!
●楽しみ方4 イタリア・ボローニャ 国際絵本原画展
今年は8月25日~9月30日の期間
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展が開催されています。
子供からお年寄りまで誰でも楽しいひと時を過ごすことができます。
同時に、年々日本人作家の活躍が注目を集め、今年は17名が入選し
作家の登竜門として注目を集めているものです。
毎年、多くの人が来訪しますので、早めにいかれることをお勧めします。
●楽しみ方5 Tea Room ZIP
庭の散歩や作品を見た後で、ZIPで一杯の珈琲を楽しみませんか。
庭が見える一番良い位置にあります。
山さんのお奨めの場所は窓側です。
好きな本をゆったりと読むのもいいでしょう。
新しいアイディアを考えるのもいいでしょう。
すばらしい景観を見ながらくつろぐ時を楽しみましょう。
●楽しみ方6 ミュージアム・コンサートの開催
美術館ではクラッシックコンサートが開催されています。
入館料は必要ですが、コンサートは基本的に無料です。
今回で、120回目のコンサートです。
ルガーノカルテットにより「イタリアの風」 と題して
7月21日(土) 午後2時から開催されます。
小じんまりとした講堂で開催されますので、
演奏者の息遣いがわかる位置で、演奏を聴くことができます。
おすすめのコンサートです。
なお、申込は事前に電話連絡が必要です。
詳しくは下記へご連絡ください。
西宮市大谷記念美術館(電話0798-33-0164)
●交通アクセス
・阪神「香櫨園」下車。徒歩約10分。
・JR「さくら夙川」下車し、徒歩約15分。
・阪急「夙川」下車し、夙川公園を散歩しながら、徒歩約20分。
合掌 山さん
0 件のコメント:
コメントを投稿