2007年9月3日月曜日

神戸 パブリック・スペース・アート 花と彫刻の道 散歩 I

今回は、神戸 三宮のフラワーロードに沿って「花と彫刻の道(この道には、終点の東遊園地も含めると37の彫像) 」を、散歩します。
きっと多くの個性豊かな神戸のビーナスの出会うことができることでしょう。

地下鉄に乗るより、ちょっと散歩をしながら多くの「ビーナス」の出会う そのような心を豊かにする時を持ちたいものです。

まず、神戸で新幹線を降りて三宮まで歩く途中で、そのご褒美として最初に出会うことができる彫像が岩野勇三作(1931~1987)「なほ」(ブロンズ 1987年設置)です。

「なお」の頭は右側を向き、体は正面、両手でバランスをとっている姿は確かな量感と構成の美しさを感じます。

高さは128cmにすぎませんが、大きさと存在感を感じる彫像です。


次に、「なお」から約100m先(加納町3丁目交差点)に、大桐國光作 「少女」(ブロンズ 1988年設置)に出会うことができます。

110cmの小さな彫像です。
本当にかわいい 可憐な少女です。

つい、つい私は「少女」の頭をなでてしまいました。

彫像のいいところは触ることができることあります。目で見ることも大切ですが、触って感じることも、芸術の大切な鑑賞方法ではないでしょうか。



さて、次に紹介するのは、神戸の彫刻家 津野充聡作(1952年~)「WIND」(ブロンズ 1986年設置)です。

大きな帽子をかぶり、堂々としたモダンなビーナスですね。
このビーナスを見ると、神戸を感じます。

左手は風の方向を指し示していつのでしょうか。
それとも未来を指し示しているのでしょうか。

思わず、私も指の先を見てしまいました。

残念なことに、そこはゴミ収集の場所となっており、ちょっぴり残念でした。芸術作品と隣あわせのゴミの山ー私たちの現在の姿を象徴しているのでしょうか?



次は、掛井五郎(1930年~ )作「長い午後」(ブロンズ1982年設置)です。

このビーナスは、珍しく座っています。
そうして、おもむろに上を見上げています。

あどけない瞳に何をみているのでしょうか?

純粋に一点を見つめ続けているその姿は美しいものがあります。

そんな時間が私たちの人生にも必要だと思う気持にさせる彫像です。
「あなたもそんなに人生を急がないで、一度座ってゆっくりと空をみませんか?」 と掛井は私たちに問いを発しています。



次は、三宮の交差点にある彫像を紹介します。

神戸をこよなく愛したアモーレの彫刻家 新谷琇紀(しんたにゆうき 1937年~2006年)の金色に輝く「ALBA(アルバ)」(ブロンズ 1985年設置)です。

三宮の中心にあるこのALBE(夜明け、はじまり)は確かに不自然な姿勢ではありますが、私は生命の鼓動を感じます。

三宮の中心地にビーナスが存在し、絶えずエネルギーを発し続けているように思えます。
一度、このビーナスに会って、そのエネルギーを感じませんか。

なお、このALBAは自由に回転させることができます。直接彫像に触れて回転させて見ましょう。


次は、三宮の商店街の入り口にある桜井祐一作(1914年~1981年)の「レダ」(ブロンズ1982年 設置)です。

桜井は病との闘いの中から凄い作品を生み出した彫刻家です。

その代表作「レダ」が三宮にあります。

レダはギリシャ神話の人物です。
スパルタ王ティンダリオスの妻レダを誘惑するために白鳥に変身したゼウスを、鷹から守るために自分の腕に隠しました。その後、密通により、レダはゼウスの子-トロイのヘレナを生みます。
ゼウスはヘレナをわが子として育て、その誕生を記して白鳥座を作ります。

この神話のレダの複雑な心の動きを端的に表現したのがこのレダ像です。

なんて、苦しくて悲しい表情なのでしょうか。
桜井は自分の運命をそのままこの彫像に託したのかも知れません。

私は、病と壮絶な戦いの中で、凄い彫像を創造したいった桜井の生き方をこのレダをとうして感じます。



今回紹介する最後の作品は、三宮の地下鉄海岸線入り口にある中村晋也 (1926年~ )MISERERE(ミゼレーレ 哀れみたまえ) 1995年設置です。

私は、中村晋也このとを「祈り」の人とよんでいます。

その彫像から沸き上がる精神的エネルギーは、ひたむきに生きぬく祈りの姿です。

この彫像は1995年1月17日阪神・淡路大地震の鎮魂を祈念して設置されました。

私は通勤途中で毎朝、この彫像を見ていますが、イエス・キリスト像を見ているような気がしてなりません。
思わず手を合わせたくなるような作品です。

人間の内面に訴える力をもった彫像が中村の彫像のすばらしさです。


ぜひ、皆さんも神戸 花と彫刻の道を散歩して、豊かな時を過ごしませんか。
次回もこの続きを、花と彫刻の道 散歩IIで書かせてもらいます。

合掌 山さん

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