2008年7月5日土曜日

野外彫刻 姫路城周辺と千姫の小路

 兵庫県姫路市にある姫路城の周辺及び「千姫の小路」に野外彫刻があります。

 姫路に縁が深いアーティストの作品が中心に個性豊かな作品が展示されています。

 偶然に私はこの野外彫刻に出会ったのですが、特に、千姫の小路と呼ばれている所は、両方をお堀と川に囲まれ水辺にはシラサギがたわむれる桜並木の散策路です。 季節に応じた美しい花を咲かせています。一度は行きたい隠れ家的な散歩道ですね。

では、いくつかの作品を紹介しましょう。


最初の作品は、姫路市出身の世界的グラフィック・デザイナーの永井一正(ながい かずまさ 1929年~ )の「光輝」 ステンレス・鉄 1989年 製作)という作品です。
 
 この作品には次のような永井の言葉があります。

 「光輝」はひかりかがやくと同時に、名誉、誉れの意味を持っています。雲のような形に浮かんだステンレスのオブジェに写り込むあおぞらや白い雲は毎日変化するでしょうが、それらの時の流れを内包しながら、姫路城を中心にした美しい街ー姫路に誇りをもって慄然と立っている彫刻を考えました。鉄の柱を貫く形は困難を克服しながら未来に向かって強く邁進するさまを表しています。 
 姫路市民の方々の憩いの場に、そして明るい希望の輝きができればと願って製作ました。
 
  確かに、慄然と輝く力と孤高の強さを感じます。凛としてその存在感を示しています。


次に、東村正久(ひがしむら まさひさ 1915年~1987年)の「楔(くさび)」(1989年 設置)という作品です。

 楔とは「V字形に作った堅い木や金属のことで、物を割ったり、隙間を広げたりするのに使う」ということですが、この作品では右側の凹に楔が入口まで入っていますが、形が異なるためにまだ十分に入っていません。
  
 いったいこれは何を意味しているのでしょうか?

私なりに勝手に想像してみました。不毛なコミュニケーションの象徴なのだろうか? 事前の準備の大切さなのか?
 色々考えることに意味がありそうです。あなたは何を想像しますか?
 この姫路城周辺では一番好きな作品です。

 最後に、吉田英智(よしだ ひでとも 1932年~ )の「千姫像」です。

 この小路の主人公である千姫の彫刻作品です。

多くの伝説がある千姫の人生は波乱万丈の歴史にそのものでした。徳川家康の孫娘であり、7歳で豊臣秀吉の子秀頼の妻。豊臣家滅亡後、20歳で姫路城主本多忠刻の妻、その後忠刻の死後、30歳で出家をし天樹院となり70年の人生を全うしています。 正座し正面をじっと見据えた目はこれから歩む自分自身の人生を見えいるようです。そうして、自信ある微笑みは千姫の存在感をかもちだしています。

 400百年前に、この水に挟まれた小路を千姫もきっと散歩していたと想像すると、私の心も楽しくなりました。


他の作品は、「アートを楽しむ山さんの美術散歩」にアクセスしてください。



合掌 山さん

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