2008年7月11日金曜日

糸の先にあるもの-塩田千春

 大阪の国立国際美術館で開催されている「モディリアーニ展」に昨日行きました。

館内の受付B1からモディリアーニ展会場のB3へ行く途中のB2に「真っ赤な糸と靴のインスタレーション作品」が展示されていました。

 その作品の強烈さに心が躍り、ついつい見入りました。その作品を製作したのが、塩田千春です。

今回は、彼女の作品を楽しみたいと思います。

最初に目に付くのが、B2フロワーの中心に展示されている「DNAからの対話」という作品です(上の図)。

なんという迫力でしょう。
赤い糸のこの美しさはなんでしょうか。
なんというイマジネーションなのでしょう。

2135足の靴がフロワーに並べられています。
すべての靴には、この靴を寄贈された方の思いを綴ったメッセージが添付されています。
短い文章ですが、それを読んでいくと、一人一人の靴への暖かい思いが良くわかります。

そうして、これらの2135足すべての靴が、赤い糸で一点に結ばれているのです。

さてこれからが山さんの作品への読み(勝手な想像)になります。

寄贈された靴はそれぞれのそれをはいた人の人生の歩みがそこにはあります。
寄贈した時点で一人一人の思いが込められています。
運命の「赤い糸」で一点で結ばれているということは、どういう意味なのでしょうか?

塩田は次のように書いています。

「今回の展示では、それぞれの靴を赤い糸で結びその記憶の中心となるものを探って行こうと思っています。不在の中で語り続ける靴の記憶の凄みを皆様に見ていただければ光栄に思います。」

2135人以上の靴を通して、 そのぞれの記憶の中心となるものとは?

う~ん、 私は人生の「喜怒哀楽」と読みました。
赤い糸で結ばれているこの空間から人生の喜怒哀楽の記憶が私には見えました。

8月2日のイベントで直接塩田千春から聞くことを楽しみにしています。


もう一つ驚いた作品が「During Sleep(ベットと糸のインスタレーション)」です。

大きな空間の中に病院用のベッドが10台以上置いてあります。その周りを「黒色の毛糸」がまるで巨大なくもの巣のようにベットと空間全体を網の目のように覆っています。

薄暗い空間に、白いベットが浮き上がって不気味に見えます。

ベットは生老病死の象徴のようですし、
ベットを覆っている巨大な黒い毛糸は、私達が押し込めた人間の無意識の空間ように感じました。

この空間に入ると、自分の生、病気、死などの 人生の内面の不安や暗い部分と向き合わなければなりません。

その点で松井冬子の精神と通じるところがあるような気がします。

そのほか、巨大な泥の付いた3枚のドレス(皮膚からの記憶)、トラウマの日常などの作品が展示されています。

自分の想像力を駆使して、自由な想像の空間に遊ぶことができる
そういう刺激をたくさん持ったすごい作品でした。

なお、展示作品は下記をクリックしてください。
http://www.nmao.go.jp/japanese/chiharu_shiota/works/index.html

イベント情報
 ・8月2日 作者と語る 同日午後2時より B2展示場にて
  (本人から直接作品の話を聞くことができます)
 ・8月31日 高瀬アキ(ジャズピアニスト)+塩田千春(美術) パフォーマンス 「靴が踊る、音が飛ぶ」
  (有料 2500円 事前申込) 
  HPのイベントよりメール(concert@nmao.go.jp)で申込可能(http://www.nmao.go.jp/japanese/cinema_popup/performance080831/performance080831.html
 
 特にライブパフォーマンスは楽しみです。早速メールで申込をしました。

合掌 山さん

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