
今日は芦屋市伊勢町の文化ゾーンにある「芦屋市立美術博物館」の楽しみ方を紹介します。
この美術館は芦屋市制施行50周年を記念して、1991年に開館しました。
しかしながら、阪神・淡路大震災後の芦屋市の財政難のために、休館ということも検討されましたが、現在はNPO法人 芦屋ミュージアム・マネジメントへの一部業務委託という形で運営されています。
今回はここでの4つの楽しみ方を紹介いたします。
その1 展覧会 「牧野四子吉(まきのよねきち)の世界-自然観察の愉しみ-」
牧野四子吉(1900年~1987年)は「生物生態画」というジャンルをはじめて確立した人です。
牧野は、「ファーブル昆虫記」、「ジャポニカ大日本百科事典」、「教科書」等に挿入画として多くの使われ、その生涯に約3万点の作品を描いたといわれています。
私たちも、小さいころから、牧野が描いた作品とは意識しないで、精密な動植物たちの絵を見て学び、育っていったと思います。
今回の展覧会では、実に見事な作品が1000点が展示されています。
丁寧に丁寧に描かれた作品は、一つ一つには名前がありません。
でも、それを見ていると、牧野四子吉の絵を描く姿勢が良くわかります。
生きとして生きるものへの暖かい心と緻密な観察力に深く心を打たれます。
素敵な詩がありました。
おもいで (作 牧野文子 1941年)
おもいでは花のように美しい
おもいでを花の一つとすれば
そんな花を一つでも多く
花束に集めたい
どんなに貧しくても
どんなに恵まれないでも
そんな花束を
胸に抱ける人生を
私は歩いていきたい
その2 2階のラウンジで本を読む
階段を上がると、そこにはラウンジがあります。
有名な黒のコルビジェソファーとその後ろには、
美術関係の本がおいてあります。
その本を読んだり、
静かに外の景色を見たり
また、自分で自宅から持ってきた本を読む。
深く腰をかけて、静かな環境を味わいませんか。
疲れてきたら、また絵をみて、続きの読書をしょう。
その3 小出樽重(1887年~1931年)のアトリエ(復元)を訪問する

小出は1926年(大正15年)2月に、芦屋の川西町に念願のモダンな西洋風のアトリエを作り、この芦屋を最後の住処とします。
日本人特有の「裸婦の美」をみいだし、小出はそれを苦難の末に作品として仕上げます。
その最初の作品が、妻の重子をモデルとした「裸女結髪(1926年)」です。
日本人のほのかな色気を感じさせるすばらしい作品です。複製画がこのアトリエにもおいてありますので確認してみてください。
アトリエ内には、作品の中に描かれたテーブルや椅子、ソファー、寝台、人形、等が展示され、原稿や書簡も展示され、当時の空気を感じることができます。
無料で、自由に見ることができますが、アトリエの中に入りすぎると「ブザー」が鳴りますので、注意しましょう。
その4 カフェ・ド・ルポ(憩いの場)でくつろぐ
全体の半分が窓ガラスで、そこから美術館や小出のアトリエを見ながらくつろぎましょう。
お奨めは、水出しコーヒー 氷ロック入り(¥480円)です。
アイスコーヒーですが、非常にまろやなか味です。
流石、水出しです。
しかも、氷の玉(ロック)は、そのコーヒーを凍らせたもので、味が薄くならないようにしてあります。この心遣いがうれしいですね。
朝8時30分よりモーニングが用意されています。日曜日は、朝食をここのモーニングでしませんか。美術館は10時開館ですから、十分時間はあります。
●アクセスは阪神芦屋、JR芦屋より、阪急バスで「緑町」下車、徒歩では約15分かかります。
今回訪問したときも、2時間ほどいましたが入場者は私も含めて4名でした。
けっして大きな美術館ではありません。
しかしながら、ピリッとした展示会や
戦後の抽象絵画をリードした吉原良治の具体美術協会の作品があります。
このような小さな美術館ほど、私たちのサポートを必要としています。
あなたも、この美術館で楽しんでみませんか!
合掌 山さん