2008年11月23日日曜日

マレーヴィチの無対象絵画を楽しむ

さて、今回は現代抽象絵画の始祖の1人であるカジミール・マレーヴィチ(1878~1935)の作品と2回目の対面をすることになりました。

最近、彼の作品がサザビーズのオークションで約59億円で落札されとのことで、注目の画家です。  

彼の主張していた無(非)対象絵画のシュプレマティスム(絶対主義)は、誰よりも早く、高く、そして深く、完全なる究極の抽象絵画の道を開きました。
それゆえに難解です。当時の人々はさぞ驚いたことと思います。「なんだ!これは」と。 

彼の著書である「無対象の世界」を読みましたが、これまた見事に跳ね返されてしまいました。わかるようでわかりません。  

現在の私の結論は、 

絵に対する人間が築いてきたすべての概念を剥ぎ取って、剥ぎ取って、剥ぎ取ってしまって(感覚の純粋さ)最後に残っている純粋な形と色-それを表現したのがマレーヴィチのシュプレマティスム作品ではないでしょうか。彼が指摘している純粋な感覚の絶対性とはこれを意味しているように思えます。

 大胆なチャレンジです。今までの絵画の歴史を覆す壮絶な戦いであったと思います。 
しかしながら、シュプレマティスム作品がそれを表現しているかどうかは私にはわかりません。
見えるのは戦いの結果としての作品だけで、私が妄想の中で想像するしかありません。 

彼の絵を前にして私達は、純粋感覚の世界へいざなわれ、今までに私達が築いてきたアートの概念と戦わなくてはなりません。そのことで私達の脳はフル回転し、世界をさらに広げてくれます。

それがマレーヴィチの世界の入り口です。  

マレーヴィチの言葉です。

 「創作は、自然界で創造されたものそのまま借りるのではなく、実物の基本的なフォルムの繰り返しも修正もない美術的な塊を基にしたフォルムで構成される絵画のみ存在する」

  合掌 山さん

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