2008年5月19日月曜日

野外彫刻 神戸海岸通り

 神戸の海岸通には、明治時代に外国人居留地海岸通と呼ばれた所で南側を東西に走る道路に沿って24の作品が展示されています。スタート地点は明治維新の立役者(勝海舟や坂本竜馬等)を生んだ海軍操練所跡です。最初に海岸通りに沿ってまず、5つの作品を見ましょう。次にメリケンパークをまわります。海辺の公園に強大な鯉(フィシュ・ダンス)をはじめとしてユニークな作品が強大なスケールで展示されています。神戸の空気を味わうには絶好の場所です。次に、海岸通に戻り、神戸を代表する新谷一家の緑の泉を見て、最後に、エスタシオン神戸(結婚式場)で日本を代表する3名の彫刻家を楽しみます。今回は多少距離がありますが、神戸らしさを味わうことができる山さん一押しの場所です。


今回はその中から、3つの作品を紹介します。
最初は峯田義郎(みねた よしろう、1937年~)の「THE HORIZON'88(1988年 製作)」作品です。 

峯田の言葉に次のようなものがあります。 「若い日、物質に人間の内面を語らせるヒトの手技に驚き、その不思議な操作に魅了されて彫刻家を志しました。しかし存在する物の不可解な魅力とは実は夢を追わせる魔力であったことに気付かぬまゝ、自分の心を托す物のかたちを探す終わりない旅を続けることになっていました。」 
峯田のテーマのひとつは「手」なんですね。この作品も「手」の表現が独特です。どのような内面を表現しているのでしょうか。腕を曲げてまっすぐ正面を見ている少年、元気に飛んでいくハトたち。私には希望に燃えている少年の心を表現しているように思えます。

2番目に、 流政之(ながれ まさゆき 1923年~ )作の「神戸海援隊  1991年製作)を紹介します。
この作品のプレートには次のような文章が書かれています。


「1863年から65年にかけ神戸小野浜に勝海舟、坂本竜馬らによってつくられた海軍操練所が存在した。武士、町人、農民をとわず若者達が大洋に夢をはせ経済、科学など多くのことを学んだ。夢をはたせず志なかばに倒れていった若者達を神戸海援隊と名づけその短い青春の夢をここに刻む」

 外観はイースター島のアモイ像によく似ていますが、海を見ながらこの作品を見ると幕末の若者達の「志」を実感でき、心が熱くなってしまいました。


最後は、 環境造形Q(増田正和、山口牧生、小林陸一郎の3人で結成された 1968年~1988年解散)の「メリケンシアター 1987年製作)という作品です。
 

神戸の花隈(神港倶楽部)で日本で始めて「活動写真」が上映されました。これを記念して作られた作品です。
中央に大きな真ん中がくりぬかれた石(スクリーン)があります。その手前に、小さな40個の丸い石が放射状に置かれています。その石ひとつひとつに、有名な俳優の名前と生まれた年(例 マリリン・モンロー 1926 )が彫ってあります。その40名の俳優を選定した人は神戸出身の映画評論家の淀川長治です。
 中央のスクリーン石に前に立って、40名の俳優に囲まれ、自分だけの風景(映画)を楽しみませんか。 

ここで紹介できなかった他の作品は「山さんのアートを楽しむ美術散歩」で見ることができます。

合掌 山さん


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