2007年10月21日日曜日

西脇岡之山美術館の楽しみ方

先日、昔の新聞の切り抜きを見ていたら、横尾忠則の日経新聞(2006年2月2日 夕刊)インタビュー記事に偶然出会いました。

その中で横尾は、
「今では流行、潮流に逆行しても怖くない。それまで踊らされた情報も、自分の本姓を見極めてからは興味の対象外です。
テーマや様式がばらばらでも納得できるようになった。ようやく自分の本姓に出会ったといえます。これから迷うことがない。」

これはすごい言葉だと思い、すぐに現在の横尾の絵を見てみたいという思いに駆られました。早速有給休暇をとって、ちょうど日本の真ん中(へそに位置している)にある横尾の出身地、西脇市の西脇岡之山美術館にいきました。

今回はこの美術館の楽しみを紹介します。

その1 建物を楽しむ

日本へそ公園駅を下車すると、目の前に昭和59年に磯崎新設計で建てられた美術館があります。

本館正面はギリシャ神殿を思わせる巨大な円柱が左右に4本あり、汽車をイメージしたと思われるアーチ型の屋根が続いています。
右には、ビラミッドの屋根を持つ瞑想室(メディテーションルーム)と右側にはアトリエがあります。

この美術館そのものが一つの芸術作品となっています。
入場する前に、美術館をゆっくり歩いて1周散歩し、この建物の雰囲気を感じることも気持ちがいいものですね。

入り口の階段を上がると、左手に受付があり、そこで入場券(310円)を購入して、展示室に入りことができます。

展示室は直列に3室あり、間に2つのガラスタイル床の部屋があります。
そのガラスタイルの部屋には、ブルーの鮮やかな空間が広がっています。
上の写真は展示室から入り口の方向へとったものです。

それぞれの展示室は、油彩の銭湯の作品群と最新作の温泉主義の温泉ポスターが展示されています。温泉主義のポスターは横尾の自由な世界があり、海底1万マイルのネモ船長とピカソの遭遇や三島由紀夫の自衛隊でのアジ演説等、時間と空間を越えた自由奔放な横尾ワールドを感じることが出来ます。

なお、温泉主義に関する横尾の紀行文は下記をクリックしてください。
横尾忠則の温泉主義



その2) 横尾忠則の絵を楽しむ

現在美術館では、「TDANORI YOKOO HOT BATHー未完の連鎖」というテーマで最新の油絵が展示されています。

ここではその中から、

「乙女湯(へちまと壷)2004年作 2273mm×1818mm」を紹介します。

なにやら5人の乙女が四角の風呂から出ようとまたは入ろうとしています。髪形を見ると日本髪あり、現代風あり、金髪ありで、どの時代かはわかりません。上部に扇風機があるので、現在かもしれませんが、制約にとらわれていません。

何でも描きたいようにするのが、今の横尾絵画なのでしょう。

この絵には、展示会に出品して凄さを見せてやろうとする心はまったくありません。
ただ、自分が描きたいものを楽しみながら黙々と描いているーそのように感じる作品です。
ぎらぎら感がない、今の横尾が私にはなんとなく親しみ感じます。


その3) 瞑想を楽しむ
本館の右側に瞑想室があります。
ドアを開いて中に入りましょう。

25㎡の小さな小さな部屋です。
中央に大きな黒い石があり、
周囲がガラスタイル、
屋根はビラミットの形をしています。



石の周りに座るか、または寝っころがって
ピラミッドパワーを感じませんか。

安らぎ音楽などをICレコーダーに入れて、
ここでその音楽を聴きながら、静かに瞑想できることは最高の楽しみですね。

この部屋を作らなければ、もっと大きな美術館を作れたそうなのですが、横尾のたっての希望で作られた部屋です。十分に味わいましょう。

そのためにはジーパン等のズボンでこられることを勧めます。
土日以外はほとんどの訪問者は訪れないとと思われますので、
1人でまたはペアでくつろぎの時を過ごすことができます。

その4) おいしい空気とゆったりした時間を楽しむ


ここには、お茶を飲むための喫茶店もレストランもまったくありません。自動販売機が1台あるだけです。

そのかわり、そこにあるのは、新鮮でおいしい空気とゆっくりとした時間です。

忙しい中で、毎日同じような生活リズムで過ごしている私たちにとっては、「おいしい空気とゆっくりした時間」を感じることは贅沢なのかもしれません。

この写真は、日本へそ公園駅のホームから撮った写真です。なお、レストランがありませんので、汽車へ行かれる方は、必ず、水と弁当を用意をされてお出かけください。

アクセス  JR加古川~JR西脇市駅~JR日本へそ公園駅
  
西脇市駅から日本へそ公園駅までは8分の時間ですが、待ち時間が長いので(2時間に1本程度)事前にネットで列車の時間を調べて行くことが大切です。

私は、今回大阪駅を12:30分に出発して、日本へそ公園駅に着いたのは、16時10分という長旅でした。
大阪から東京までの時間と同じくらいに到着にかかりましたので、くれぐれも時刻表には注意して出かけてください。

ちょうどJR加古川駅で、横尾の「Y字路」の絵をペイントしたラッピング列車に出会いました。最近のJRは粋なことをするものです。(左の写真)

合掌 山さん

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