2008年11月24日月曜日

夕日の見える美術館-サントリーミュージアム天保山


 地下鉄大阪港駅から海に向かって徒歩約10分にある海辺の美術館です。

 このサントリーミュージアム(天保山)はサントリー株式会社の創業90周年事業の一つとして1994年、創業の地大阪・天保山ハーバービレッジに誕生しました。  ミュージアムは、アートの企画展を行う「ギャラリー」と巨大立体映像の「アイマックスシアター」があり、それにレストラン、カフェ、から成っています。

  建物の設計は大阪出身の建築家・安藤忠雄で、じょうろのような形をした部分と長方体が海に突き出た部分が合体した不思議な形の建物です。


 天保山一帯を散歩するのもよし、世界で最大級の水族館である海遊館でジンベイザメを見るのもよし、不思議な形をしたミュージアムを楽しむのもよし、アートや立体映画を楽しむこともよし、では山さんの5つの楽しみ方を紹介します。


1) 日本一低い山の天保山を楽しむ




 地下鉄大阪港駅(登山口)を下車して約10分海に向かって歩くとそこには、1831年に土砂を河口に積み上げて作られた人工の岡があります。


 国土地理院発行の地形図には天保山と記入され、4.53mのに日本で一番低い山です。


 まずはこの日本で一番低い山に上りましょう。とはいっても4.3mしかありませんので、いわゆる岡です。

 目前には、明治天皇行幸を記念した碑(左図)や、この天保山周辺(大阪港)整備に尽力した西村捨三翁の銅像があります。


また、大阪湾につながる安治川やスケールの大きい阪神高速湾岸線天保山大橋を見渡すことが出来ます
なお、マーケットプレイスの2階にある喫茶店「山小屋」において天保山の登山者に対し証明書(10円)を発行してくれます。一度記念にいかがですか。

2)レクチャーを楽しむ(みどころトーク)



 ギャラリー会場入口横のレクチャールームでは、入場者対象に展覧会の解説がおこなわれています。女性のプレゼンテーターによる生の声で11時から1時間ごとに約10分間おこなわれています。


 私が訪れたときは、「青春のロシア・アバンギャルド」という展覧会が開催され、その説明がおこなわれていました。 ロシアの絵画史についてはマレーヴィチしか知らない私にとっては、ロシア絵画の流れ、特にロシア・アバンギャルドについて事前に説明してもらったことはたいへん助かりました。


 しかも、テープや映画ではなく毎回生の声で説明されることが美術館への親近感を生み出すしているように思えます

山さんお薦めのレクチャーです。 開始時間は次のとおりです。


 11時・12時・13時・14時・15時・16時・17時の1日7回実施。

3)企画展でマレーヴィチを楽しむ

 詳しくは、昨日のブログを読んでください。


4)海遊館を楽しむ





美術館の隣には有名な水族館「海遊館」があります。


 開館当時は大勢の客で待ち時間が大変ながく見るまでに疲れてしまっていましたが、現在は全くそのようなことがなく、スムーズに入館することが出来ます。


 巨大な水槽で、光に照らし出されたジンベイザメが悠々と泳いでいる姿は神様がくれた自然なアートです。ぜひ訪れたいところです。 


営業時間 :10~20時 入場料  :2000円


5)スカイラウンジでお茶を楽しむ


 


美術館には2つのカフェがあります。


 2Fにある「カフェ・ソレーレ」と9Fにある「スカイラウンジ」です。 私は45mの眺望を楽しむために、今回はスカイラウンジに行きました。2Fから直通のエレベータがあり、9Fへすぐに行くことが出来ます。


 スカイラウンジからは、、ガラス張りの向こうに大阪湾が広がり、淡路島、六甲の山並をみながら、夕陽を楽しめる空間が広がっています。


 夕日を見ながら、食事をすることは人生の幸福の一つですね。山さんお薦めの場所です。ぜひ、夕日の時間を楽しみましょう。  営業時間:11:30~20:30 


6)トクトク情報


大阪湾の夕日を鑑賞する 

 美術館は目の前が大阪港です。ここは昔から夕陽の名所として知られおり、大阪の名所のひとつです。現在(秋から冬)の季節は、淡路島に沈む夕日を見ることが出来てその絶景を美術館から楽しむことが出来ます。ぜひ、この夕日を楽しんでください。

そのためにも、夕方にかけて美術館にいかれることをお薦めします。 美術館は開館時間は10:30~19:30



 建築デザイン関連書や美術書・絵本まで多くの本や美術グッズがおいてあります。逃げまわる目覚まし時計ナンダクロッキー(8400円)をはじめとして、オリジナルなものもたくさんあります。 


7)アクセス



・大阪市営地下鉄 中央線「大阪港」駅1番出口下車徒歩約5分。なお、JR大阪からは、環状線「弁天町」駅で中央線に乗換です。
・入場料金:一般 1000円


合掌 山さん

2008年11月23日日曜日

野外彫刻 神戸地下鉄 西神・山手線周辺

 神戸の三宮から地下鉄に乗り、約20分。まずは、名谷駅で降りましょう。そこには、日本彫刻界の巨匠柳原義達をはじめとして5つの作品があります。

 次の総合運動公園では、1985年のここで開催されたユニバーシアード神戸大会を記念する作品が設置されています。
 
最後に、終点の西神中央駅では、パークアベニューを中心として、バラエティにあふれた作品があります。具象あり、抽象ありで彫刻作品を十分に楽しむことが出来ます。


1)柳原義達 勝利者の像
  この作品は、1985年に神戸で開催されたユニバーシアード神戸 大会を記念して彫刻界の巨匠 柳原義達(1910~2004)によって製作された作品です。

 タイトルは「勝利者の像」と命名され、記念競技場の正面に設置され、像の周りには優勝者の名前が彫られています。

 作品の姿は右手の握りこぶし等柳原の代表作「犬の唄」に似ていますが、表情は異なっています。 正面を見据え、自分の力を出し切った誇り高き競技者のさわやかな顔を表現しています。じつに気持ちのいい顔ですね。


2)岩城信嘉  かたらいの譜
 
岩城信嘉(いわき のぶよし 1935~  )の「かたらいの譜(1983年製作)」という作品です。

 石の作品でこれだけのねじれた大空間を製作するのは大変だったろうと思います。よく立っているなあというのが実感です。

 途中で隙間があります。親子の会話でしょうか。それとも恋人同士の会話でしょうか。なにか人間同士が、仲良く話しているように見えます。









3)高田大  蜃気楼
 高田大(たかだ だい 1958~  )の「蜃気楼」という作品です。
 
 蜃気楼とは、「遠くの景色が通常とは違ったように見える現象」ですが、この作品は異次元の雰囲気を持っています。

 長方形の石の上に、半分の顔しない人物の上半身が乗せられています。右手がありますが、手のひらは不思議な方向(逆向き)になっています。もしかしたら本人の手ではないかもしれません。

 私たちの中の無意識の人物像となにかシンクロするものを持っているのかもしれません。ゆれては消えていくイメージのように揺らぎを感じます。






その他の作品は「山さんの美術散歩」を参照してください。


合掌 山さん

マレーヴィチの無対象絵画を楽しむ

さて、今回は現代抽象絵画の始祖の1人であるカジミール・マレーヴィチ(1878~1935)の作品と2回目の対面をすることになりました。

最近、彼の作品がサザビーズのオークションで約59億円で落札されとのことで、注目の画家です。  

彼の主張していた無(非)対象絵画のシュプレマティスム(絶対主義)は、誰よりも早く、高く、そして深く、完全なる究極の抽象絵画の道を開きました。
それゆえに難解です。当時の人々はさぞ驚いたことと思います。「なんだ!これは」と。 

彼の著書である「無対象の世界」を読みましたが、これまた見事に跳ね返されてしまいました。わかるようでわかりません。  

現在の私の結論は、 

絵に対する人間が築いてきたすべての概念を剥ぎ取って、剥ぎ取って、剥ぎ取ってしまって(感覚の純粋さ)最後に残っている純粋な形と色-それを表現したのがマレーヴィチのシュプレマティスム作品ではないでしょうか。彼が指摘している純粋な感覚の絶対性とはこれを意味しているように思えます。

 大胆なチャレンジです。今までの絵画の歴史を覆す壮絶な戦いであったと思います。 
しかしながら、シュプレマティスム作品がそれを表現しているかどうかは私にはわかりません。
見えるのは戦いの結果としての作品だけで、私が妄想の中で想像するしかありません。 

彼の絵を前にして私達は、純粋感覚の世界へいざなわれ、今までに私達が築いてきたアートの概念と戦わなくてはなりません。そのことで私達の脳はフル回転し、世界をさらに広げてくれます。

それがマレーヴィチの世界の入り口です。  

マレーヴィチの言葉です。

 「創作は、自然界で創造されたものそのまま借りるのではなく、実物の基本的なフォルムの繰り返しも修正もない美術的な塊を基にしたフォルムで構成される絵画のみ存在する」

  合掌 山さん