2008年12月15日月曜日

大阪西梅田周辺の野外彫刻

JR大阪駅の前にはモダンな超高層ビルが林立するようになりました。そのビルと調和するように野外彫刻作品が展示されています。

 たとえば、ジャンポール・オーベのような伝統的な具象彫刻からケネス・スネルセンのような抽象作品までバラエティに富んでいます。

 特に、谷山恭子と松永真の両アーティストの作品が高層ビルを囲むように展示されているのは見ものです。ビルを見上げながら彫刻作品との調和を楽しむことが出来ます。

1)ジャンポール・オーべ Flower Fairy


フランスの彫刻家ジャンポール・オーべ (Jean- Paul Aube 1837~1916)の「 Flower Fairy(花の妖精)」という作品です。 

 ザ・リッツ・カールトンホテルの駐車場入口の緑の木々の中にこの妖精はいます。 実に気品に満ちた美しい姿です。古典的な美とはこのような作品をいうのでしょうか。「美に見せられる」 そのようなエネルギーえを持っています。

 妖精は手に花を抱え、つま先立ちをしている姿は優雅そのものです。 周りの緑にマッチした正統派の彫刻作品です。

 山さんお薦めの一見の価値がある作品です。

2)堀口泰造   カルメン


堀口泰造 (ほりぐち たいぞう 1993~  )の「カルメン(1970年製作)」という作品です。新サンケイビルの入口ホールに設置されています。
 
 体全体からあふれ出ているエネルギーを感じます。フラメンコの情熱的な踊りが迫ってきます。カスタネットとフラメンコギターの音がこの作品から聞こえています。

 ついつい「オーレ」と叫びたくなりました。




3)鈴木政夫 花の二人



石を叩きつづけてきた彫刻家鈴木政夫(すずき まさお 1919~2002 )の「花の二人」という作品です。

  温かいぬくもりのなかに二人の人間の愛とそのエネルギーを感じます。ジワ~と心を揺さぶられる作品です。

  鈴木の言葉に「これらの石仏群の大半(道祖神)が,今も庶民の生活の中で生きて祭られており,部落のシンボルの役目を果たしている。彫刻的感動以前の,人間本来の「いのち」の感動を放っている。」私は,しっかりと風土に根ざしたこれらの石仏群に感動し,身を震わしたのであった。

 まさしくこの作品は「いのち」の感動を持っています。手を合わせたくなる人間の根源的な面を表現している作品です。

その他の作品は「 アートを楽しむ山さんの美術散歩 」を参照ください。

合掌 山さん


2008年12月4日木曜日

大阪市中之島緑地とその周辺の野外彫刻


  地下鉄の御堂筋線淀屋橋駅で下車すると、そこには中之島緑道と明治24年(1891年)に大阪市で初めて誕生した中之島公園のがあります。

  堂島川と土佐掘川の真ん中にある約1.5kmにおよぶの緑色のベルト地帯です。公共施設や美術館とがあり文化豊かなところです。


特に中之島緑道は400mにわたり10体の彫刻と緑豊かな花々があります。その周辺には、ブルーデルの作品や日本を代表する彫刻家の作品が設置されています。12月の夜には中之島公園一帯には光のイルミネーションがなされます。(上図をクリツクすると拡大)
 彫刻もライトアップされているので、ちょっと寒いですが、12月の夜に見に行かれることをお薦めしまします。

1)トム(トーマス)・ シャノン Hi_Phi

 関西電力本社ビルの入り口にあるトム・シャノン(Thomas SHANNON 1947~ )の「Hi_Phi(ステンレス 2004年製作)」という作品です。


 この3つの物体はなんだろうかといろいろ調べてみました。するとこの作品はこの企業の経営理念の一つである「成長する力」を表現しているとのことでした。


  また、3つの大きさは、「1:1.618」からなる最も美しい黄金比率で出来ています。そうして、最初の玉が「安定」、真ん中が「成長」、最後が「力強さ」を表しているのでしょうか。そのように考えてみると納得は出来ますが・・・・・・・ 。


 Hi_Phi(ハイファイ)の意味は「原音や原画に忠実な再現」ということなので、成長していくさまの本質を表現しているのでしょう。実に不思議な物体が、空間に浮かんでいるように思えます。


2) 天野裕夫 十魚架

天野裕夫 (あまの ひろお 1954年~ )の「十魚架(1989年設置)」という作品です。


 十字架ではなくて、十魚架とは。その想像力に脱帽です。大きな足、それに垂直に立っている人。その体を水平に貫いている魚。独自の世界を持っています。


 天野は「30年も作っているとこうすればこうなると頭の中で考えるようになる、しかし、頭でイメージして作れることは割合限られている。自分の手を信じている。


 手が作っていくということを信じてやっている」と話しています。 おそらく手が作っていくとは、頭でいろいろと考えるだけではなく、無意識の手の動きに任せるということなのでしょうか。


  創造性は無意識の働きが大きいと天野の作品を見ながら気づきました。

3)斉藤均 It blows(風標)


斉藤均 (さいとう ひとし 1948年 ~  )の「 風標(1989年設置)」という作品です。


  ステンレスの角材を丹念に積み上げた作品で、斉藤によるとIt blowsということで、「風が吹いてきたよ」ということだそうです。 


 その風はどんな風なのでしょうか。 私は緩やかな風を感じます。微妙に感じるさわやかな風です。都会の真ん中の気持ちの良い風です。


 斉藤のHPではIt blowsの多くの作品をインターネットで見ることが出来ます。お薦めのページです。 




残りの作品は「アートを楽しむ山さんの美術散歩」で楽しんでください。

合掌 山さん